1期 プロローグ|夏華狼_kagero
ある、帰りの道。 それは、酷い雨だった。 雨粒を雨具で奏でながら帰る集団の中で、1人遅れる少女。 アパタイトの如く光る水色の目をした、不思議な子だった。 追いつこうと走ると、濡れた歩道のグレーチングが、少女の足の自由を奪った。 裸の小さな膝小僧が、アスファルトを擦った。 痛い。 すごく、痛い。 泣いてしまいたい。 そんな感情が、痛みが生じた。込み上がった。 少女はその時、生まれて初めて「痛み」で泣いたのだ。 劈くような声が、非情な雨雲の空へ飛んでいった。 少女の中に、また新たな少女が誕生した。 何笑ってるの、へんなの ねえ、さっきと言ってる事、全然違うじゃん お
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